COLUMN LAST ROUND 「旅」という基礎練習
「旅」という基礎練習

踊りを習う際に、必ず必要なのは基礎です。どのようなジャンルにおいても基礎は必ず必要です。基礎を身につけて初めて自己表現を考えることができます。基礎を怠り、自己表現に先回りする踊り手は必ずいつか行き詰まります。なぜなら、基礎がないということは、形のない物を崩して行くことになるからです。基礎があれば形があるものを崩し、新しくアレンジすることで自己の表現の引き出しを増やす事が出来ます。そして、行き詰まれば、また元の形に戻せば良いのです。踊りにおいて自己表現を開花させる一番の方法は、温故知新の教えを守ることなのです。
また、舞踊を創作する際においても同じことがいえます。例えば、舞踊創作の基盤となるのはテーマです。何となく音楽に合わせて動きを繋ぐのではなく、踊りを介して観客に何を伝えたいのかが鍵となります。絵画に具象画や抽象画があるように、舞踊にも解りやすい物語作品から、何かを抽象的に描写する作品まで幅広く存在します。しかし両者、共通して重要なのは、やはりテーマが何かという点になります。

例えば既存の物語を舞踊化する際に、観客は物語のストーリを求めるのではなく、その物語を舞踊化したことによって新たに生まれる物語に期待します。また抽象的に何かを描写する作品においては、観客は舞踊を介して表出されるドラマに期待するでしょう。ただ何となく音楽に合わせて動きを繋ぐ舞踊にはテーマがないのです。元から意味のない動きに後付してテーマを付けても観客には伝わらないのです。例え抽象的な表現であっても、創作意図のはっきりした作品であれば不思議とテーマが浮き出てくるのです。
舞踊創作の基礎がテーマだと考えれば、まず表現したい題材と巡り会うことから全てが始まります。しかし、一様にテーマと言っても現代社会の中で題材を探すことは容易なことではありません。そのためには、踊りのことだけではなく、感性を豊かに、あらゆることに興味を持つことが必要不可欠です。
舞踊家とは冒険家のように好奇心旺盛で、知らない土地も自分の故郷にしてしまう程、勢いのいる仕事なのです。これから舞踊家を目指される方、沢山知識の旅をして、まず表現したいテーマと沢山出会ってください。
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